眩しい

 

歳を重ねるたびに夏の始まりの空気や陽射しや木々が眩しく感じるのは私の光が少しずつ鈍くなっているから。

 

小学生だった彼女の夏休みは、同じアパートの男の子のお迎えでいつも始まる。まだ朝の9時を過ぎたばかり、寝ぼけ眼で食パンに噛り付いている頃に、インターホンが鳴る。「おはようございまーす!!!○○ちゃん起きてますかー!インターホン越しなのか、ドア越しなのか、分からないくらい大きな声で彼は聞く。

それでようやく目が覚めて、慌ててパンを飲み込み、歯磨きもろくにせず外を飛び出す。

大体、彼女と、彼女と同級生の男の子二人と、彼らの妹や弟、一個下の一人っ子の女の子、お向かいの一軒家の二人兄妹、このメンツで遊んでいた。隠れんぼ、鬼ごっこ、宝探し、ダルマさんが転んだ……ゲームなんてやった記憶がないし、ケータイなんかもなかった、のに、退屈なんてしたことがなかった。

 

小さいアパートだったそこは、彼女たちが成長するにつれ、少し手狭になってきて、中学生になる頃には、彼女も、彼女の同級生の男の子二人も、みんなそのアパートから引っ越して、(一人は変わらず大阪、一人は名古屋、一人は仙台!へ)バラバラになってしまった。

 

彼女はその幼なじみにほんのりとした恋心とも言えない好意を持っていて、お別れする時に彼から貰ったイワークポケモンカードを長い間大事に持っていた。

 

それらがすっかり思い出になった15年後、この3人組がひょんなことから揃って再会することになるそうだけど、その話はまたいつか書けるかもしれないし、書けないかもしれないし。

 

この頃は、きっと夏の眩しさに負けないくらい、私もキラッキラに輝いていたんだろうな。

同じくらいに発光してたから、眩しく感じることが出来なかったんだな。

 

なんの話やねん。おやすみ。